
最新テクノロジーやサブカルチャーのトレンド分析に定評のある雑誌Wired Magazine。期間限定のショップ("
The Wired Store")をオープンしたこともあるほど、ニューヨークでは有名。その最新号は、なんと日本のマンガ特集!アメリカやヨーロッパで年々人気上昇中の秘訣を分析しようっていうのです。表紙からマンガで、"MANGA CONQUERS AMERICA"(マンガ、アメリカを征服!)のインパクト満点のタイトルも。

この特集記事を書いたDaniel H. Pink記者は、今年の春、2ヶ月かけて日本のマンガに関する最新事情を東京を中心に取材。記事にはアメリカ人ならではのユニークな指摘もいっぱい。
例えば、世界中で大ヒットしているマンガの多くが週間少年マンガ雑誌の20ページほどの連載から生まれていることや、そういった週間マンガ雑誌がどこでも買えること、など。日本人にとっては当たり前ですけど、確かにこういうコンテンツ育成の仕組み?ってアメリカにはありません。
更に、マンガは日本のドラマや映画、さらにはポップカルチャーに多大な影響を与えていて、アメリカの4大テレビネットワーク的存在だ!とまで書いてます。そこまで影響力あるかなぁ?って気もしますが、考えれば考えるほどそうかもしれないって思えてきたりして。

さらに徹底したコミック・マーケットの体験レポートも。今回の特集ではここがメインでしょう。彼が最も驚いたのはdojinshi(同人誌)の存在。人気マンガの登場人物を勝手に使用している同人誌は、アメリカだったらすぐに著作権の問題で訴えられますが、日本ではおおっぴらにマーケットが開かれ、たくさんの人々が参加しています。これはトレンド・ウォッチャーでもある記者さんにとっては驚愕の事実だったみたい。でも、さすがHotwiredだなぁって思ったのは、この事実から、アメリカの音楽産業やコンテンツ産業に対する新しいビジネス・モデルの提案がはじまるんです。記事に10回近く登場するキーワードは、"Anmoku no ryokai"(暗黙の了解)。いかにも日本っぽい!
詳しく書くと長くなるのでポイントをまとめると、(1)Taking care of customers. (2)Finding new talent. (3)Getting free market research.の3つの理由から、出版社側は同人誌などによる著作権の無断利用に対して"Anmoku no ryokai"のスタンスをとっているのだそうです。そうすることで、お互いにプラスになるという判断。だんだんゲーム理論みたいな話になってきてますが、要するに、法律は法律としてそれとは別に"Anmoku no ryokai"という考え方を取り入れることで新しいビジネス・モデルがありえるんじゃないの?っていうこと。
YouTubeなどせっかく最新テクノロジーが登場しても著作権が問題になって苦労してますから、Hotwiredの記者として特にそう感じたのかもしれません。それにしても、日本発のモノとかサービスとかアイデアの人気が高まってくと、この"Anmoku no ryokai"(暗黙の了解)みたいな感じで、日本的な価値観とかも肯定的評価を受けて世界に広まっていく可能性があるんですね。そういう現象って面白い副産物だなと思います。
以下、特集内のマンガ(一部)です。
マンガで見る日本のマンガ史。見覚えあるキャラクターが色々。
最後のページに麻生太郎外務大臣(当時)も登場。
Hotwiredに日本の政治家の演説が紹介されたのは史上初?
Mangaは1種のArtwork。そうとらえる方々も少なくありません。ギャラリーとかデザインの良い雑貨を置くお店とかで、日本人はビジュアルに対する感性が鋭いよね、なんて言われることも多いんです。ひょっとするとMangaの影響があるのかなぁ・・・。Mangaもいよいよ日本文化の代名詞的存在となってきたのかもしれません。※コメント欄にはログインが必要です。お手数をおかけしますが、ExciteホームでID登録しブログトップでブログを開設してからログインください。既に登録済みの方はそのままご利用頂けます。「人気blogランキング」