定年を60歳とした場合、1947年(昭和22年)生まれを中心とした団塊の世代の退職者が最も多く発生する2007年。今年は高齢化社会が益々クローズアップされる年になるかもしれませんね。
今日は1冊の本をご紹介します。
"The Mature Mind"、『成熟した心』という題名の本。
高齢者の心と脳の発達について書かれた本で、テレビのモーニングショーでも紹介されました。著者は、Gene D. Cohen博士。高齢者の「加齢・健康・ヒューマニティ」研究や、精神医学などをご専門とする大学教授です。この本に書かれている内容の一部をご紹介しますと・・・
"The brain is continually resculpting iteself in response to expericence and learning." =>"New brain cells do form throughout life."
(脳は絶えず経験に応じて再構築され、学習を続ける。→新しい脳細胞は一生形成され続ける。)
"The brain's emotional circuitry matures and becomes more balanced with age." =>"The brain's two hemispheres are more equally used by older adults."
(脳の感情コントロールは加齢とともに成熟し、よりバランス良くなる。→歳を取ると、左右の脳をより均等に使えるようになる?!)
私達は長い間、「成人すると脳細胞は成長しない」という説を信じていましたが、これは間違っていると最近の研究で明らかにされたそうです。もちろん、老化する細胞もありますが、死ぬまで一生脳細胞は作られるんですって!
それどころか、更に
歳を取ると左右の脳を同時に使えるようになり、感情のバランスや発想力がより優れたものになるということも発見されました。これは目で見て分かるものではありませんが、人間の成長過程の中におけるインパクトとしては、ハイハイしてた赤ちゃんが立って歩けるようになるのと同じようなもので、根本的に脳の機能が向上し、それまでの人生では思いもよらなかった大きな変化や成長をもたらすと言うのです。
そして、この本には、第二、第三の人生を自らの決断と行動で素晴らしいものに変えていった健康で行動的な高齢者の方々のエピソードが沢山紹介されています。90歳を超えて視力を失ってから彫刻家として有名になった方や、100歳を超えてから本を出版した黒人女性など、"if not now, when?" (今やらなきゃ、いつやるの?)という思いに背中を押されて決断し、果敢に行動する方々の驚きと感動のエピソードが盛りだくさん。これから第二の人生を迎えるという方々だけじゃなく、全ての人々にとって勇気と希望を与えてくれる素敵な本かなと思います。
そういえば、この本の「第二の人生」について書かれた章の冒頭には、こんなフレーズも・・・
"The best way to predict the future is to create it."
(未来を予知する最善の方法は、未来を(自ら)創リ出すことだ。)
他にも、健康な高齢者の8割が何かしらの社会貢献活動に参加していて、その要因が「人生の意味を確認する」ことにあるという分析や、高齢者の脳内ではポジティブなアイデアを生み出す成分がより多く存在することなど、興味深い研究成果がたくさん書かれています。あと、日本語訳の本も出てますが、ちょっと研究論文っぽい文体で読みにくいかもしれません。原書の方がだんぜん勇気や元気が出る内容ですので、英語で読める方には原書の方をオススメします。
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