
かつてニューヨークの治安がとても悪かった時代。その中でも特に危ないエリアということで有名だったLower East Sideのアルファベット・アベニュー。このエリアの一角に、ドラッグ・ディーラーやギャングの巣窟だったビルがありました。そんなに遠い昔の話じゃありません。1980年代前半の頃のことです。
1982年、このエリアの治安改善に乗り出したニューヨーク市は、治安悪化の象徴でもあったこのビルを取り壊し、更地に戻しました。安全に暮らせる環境を手にするために、たくさんの地域住民の方々もまた立ち上がりました。

駐車場になる予定だったその更地を、復興のシンボルとして緑いっぱいの公園にしようと誓ったのです。
運営母体は地元の方々を中心とした民間のNPO組織。フェンスに施されている手のひらの形のデザインには、メンバー1人1人の手によって作られたという意味が込められています。
荒廃の中から立ち上がろうという意味だったのでしょうか、公園の中には大きなタワーがそびえたっています。このタワーの名前はEddies' Sculpture。これもまたNPOメンバーと無名の地元住民の手によって作られました。材料は、ガラクタの寄せ集め。高価な石材でもなければ、有名なアーティストの作品でもありません。
でも、ガラクタの寄せ集めなのに、無名の人々によって作られたものなのに、人を引き付ける何かを感じさせます。なんだガラクタかぁと言って立ち去る人もいるかもしれないけど、この公園にあるこのガラクタの塔、私の心にはその不思議な印象がとても残りました。本当の芸術って、純粋な情熱から生まれてくるのかもしれません。

〔ご参考情報〕
The Sixth Street and Avenue B Community Garden
アベニューBと6 th Streetのコーナーにあるこの公園は、パークではなくガーデンという名前がついており、実際、様々な種類のお花が植えてある花壇とか果物の実る木々がありました。今ではすっかり地元住民の方々の憩いの場です。笑顔で若いお母さんがベビーカーを押しながら歩いていました。公園の奥には、おとぎ話にでも出てきそうな可愛らしいステージもありますよ。イベントも頻繁に行われているようです。人間の未来を切り開く勇気っていうか、強さを感じさせてくれる公園かもしれません。
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