前回、ご紹介したスタートアップ支援関連政策を生み出すもとになったと思われる、内閣府に設置される「重要政策に関する会議」のひとつである総合科学技術・イノベーション会議の会議資料【
世界に伍するスタートアップ・エコシステムの形成について(案)、PDF形式21頁】をたまたま見つけましたので、以下、その中から気になった箇所をご参考まで。
目次からして興味深い この資料の冒頭、書き出しは、こんな感じ:
はじめに
<第6期科学技術・イノベーション基本計画におけるスタートアップ・エコシステム形成>
- 第6期科学技術・イノベーション基本計画(令和3年3月閣議決定)では、科学技術・イノベーション政策の主要な役割の一つとして、社会ニーズを原動力として課題解決に挑むスタートアップを次々と生み出し、多様な主体が連携して価値を共創する「価値共創型の新たな産業を創出する基盤となるイノベーション・エコシステムの形成」を掲げた。すなわち、同計画の実現には、イノベーションを創出するスタートアップが続々と生まれ、大きく育つエコシステム(スタートアップ・エコシステム)の形成が不可欠である。
<中略>
- 計画にて明記されているとおり、科学技術・イノベーション政策を遂行するに当たっては、国際的な協調と競争の視点を常に強く意識しなければならない。この認識の下、本専門調査会では最新の国際動向を踏まえて、国内外の起業家、投資家、行政機関等へのヒアリングを重ね、同計画の実現に向けて、「世界に伍するスタートアップ・エコシステムの形成」に向けた具体的な方策について検討し、その内容を本報告書にまとめた。
…とのこと。ふむふむ。
まぁ、確かに『国際的な協調と競争の視点を常に強く意識しなければならない』というのは、当然、そうなりますよね。
だって、年々、少子化・高齢化が進み、お客さんが減っている日本国内市場しか見ていなかったら、スタートアップ企業を生み出すのも、育てるのも、決して簡単なことではありませんから。
ごくごく普通に考えて、今後、ますます国際的な視点は大切になってくるのだろうなぁ…と思います。
続いて:
<スタートアップ政策の意義>
- 日本経済は長らく閉塞感を打破できていない。過去30年間で、日本の国際競争力(IMD)ランキングは1位から31位に下落し、日本企業の競争力(時価総額top50)は 32社から1社に減少するなど、我が国の経済は競争力が低下し続けており、また、東証株価指数(TOPIX)及び実質賃金は横ばいとなっている。
- 諸外国では、GAFAM(ガーファム、Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの総称、ビッグ・ファイブとも呼ばれてます、すべて米国企業)がデジタル・プラットフォーマーとして急成長し、米国経済や雇用創出等を牽引する存在になったほか、新型コロナウイルスのワクチン開発ではモデルナ(米国、Moderna)やビオンテック(ドイツのバイオ医薬ベンチャー、バイオンテックやバイオエヌテックとも呼ばれる、BioNTech SE)、自動運転ではテスラ(米国、Tesla, Inc.)、量子コンピュータではディー・ウェイブ・システムズ(カナダ、D-Wave Systems, Inc.)やイオンキュー(米国、ionQ)、宇宙開発ではスペース X(米国、Space Exploration Technologies Corp.、通称SpaceX)、ドローン技術ではジップライン(米国、Zipline)など、スタートアップがイノベーション創出による経済成長や社会課題解決を先導している。
…とのこと。うーむ。
まったく何も説明などありませんが、ここでまず最初に気づくのが、「諸外国では…」と言いながらほぼすべてのイノベーション創出企業例がアメリカの企業だということ。
GAFAMは、もちろん、すべて米国企業ですし、ここに挙げられている最先端テクノロジーやイノベーション分野を象徴する企業の大半、ほぼすべてが米国の、比較的新しい企業、つまり、スタートアップ企業です。
この事実は、極めて重要と言えるでしょう。なぜなら、最先端テクノロジーやイノベーション分野の動向を深く知りたいのなら、当然、これらの米国企業の動向を知っておかなきゃお話にならないワケでして、そりゃ、『国際的な協調と競争の視点を常に強く意識しなければならない』ってことになるのです。
そして、さらにこの後、この資料(5ページ目)には:
<スタートアップ・エコシステムの抜本強化の方向性>
ー(中略)ー- スタートアップの大規模な成長は、グローバルな視点無くしては為し得ない。このことを肝に銘じ、投資家、VC、起業家、その他すべてのプレーヤーについて海外勢に門戸を開き、世界からベスト&ブライテストが集まるという生態系を構築することが必要である。このためには、外国人の起業に係る制度、子女教育、税制等の基本的な条件の整備が大前提となる。
…と書いてありまして、そりゃ、そうですよね。
だったら、もっと日本国内にいる日本人の皆さんのグローバルな視点を育むための取り組みがあってもいいんじゃない?とも思うんです。
こうした一連の日本政府の取り組みや、特に、「 日本国内にいる日本人の皆さんのグローバルな視点を育むための」の関連情報の重要性を鑑み、カテゴリー内に、この度、新たに「★日系企業への海外ビジネス支援情報」を加えてみました。
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