ニューヨークに誕生した「TikTokブロック」、中でも注目のローグ（Rogue）とは？ : ニューヨークの遊び方

ニューヨークに誕生した「TikTokブロック」、中でも注目のローグ（Rogue）とは？

前回の続きで、なぜ、2000年代（またはそれ以前の年代の）ファッションが、今、Z世代などの若年層に人気があるのか？　本当に：

YouTubeなどでいつでも視聴できる環境が整ったことにより、改めて人気が再燃したり、新たに人気が出てくるようになってきちゃった？

…ということなのか？　についてのお話。

早速、この問いに対する答えから言いますと、はい、そうです。たぶん、そのとおり。

YouTubeだけじゃございません。

その他、様々なソーシャル・メディアやウェブサイトなどにより、改めて人気が再燃したり、新たに人気がでてくるようになったものはいろいろございまして、例えば、冒頭のスクリーンショットの記事のように、2021年5月～6月にかけてのわずか1ヶ月のうちに、ニューヨークでは、TikTokで話題になったインフルエンサーが、相次いで、古着屋さんの実店舗をオープン：

How Emma Rogue turned her viral vintage TikTok into an IRL shop [16 June 2021/ i-D Vice]
エマ・ローグが口コミで人気のヴィンテージ・ファッションのTikTokを、実店舗に変えた方法

注釈：”IRL”とは、”In Real Life”（実生活の中で）の略語。Eコマースが普及し、ヴァーチャル空間での買い物が進化した結果、逆に、実生活、つまり、実店舗での買い物や実際に空間を訪れる体験の価値や魅力が高まり、研究されるようになり、その結果、アメリカでは、その重要性を強調する専門用語として”In Real Life”、略して”IRL”をよく見かけるようになっております。

しかも、その２つのお店は、マンハッタンのローワー・イースト・サイド（Lower East Side）地区にあるスタントン通り（Stanton St.）沿いに、隣同士でオープンしたということで、そのエリア自体が「TikTokブロック」（ティックトックの一角、TikTok Block）と呼ばれるようになるほど。

はい、そうです、「TikTokブロック」です。

さらに、上述の記事では：

The opening of her new store Rogue on New York’s “TikTok Block” proves the app is changing the face of retail.

ニューヨークの「TikTokブロック」（TikTokの一角、TikTok Block）に彼女の新しいストア、Rogueがオープンしたことは、そのアプリ（TikTok）が小売業の様相を変えていることを証明しています。

（中略）

The latest industry to feel TikTok’s ripple effect? Fashion, specifically retail. Walking down Stanton Street on the Lower East Side of New York City, you’ll find two new vintage “Gen Z stores”: Bowery Showroom, opened by Matt Choon, and Rogue, founded by viral TikTok thrifter Emma Rogue. The street has already been dubbed the “TikTok block”.

TikTokの波及効果を感じる最新の業界とは？ファッションです、特に、小売店舗に、今、TikTokの影響が出ています。ニューヨーク市のローワー・イースト・サイドにあるスタントン・ストリート（スタントン通り、Stanton Street）を歩いていくと、2つの新しいヴィンテージ、つまり古着屋の「Z世代ストア」があります。（TikTok上でインフルエンサーだった）マット・チューン（Matt Choon）がオープンしたバワリー・ショールーム（Bowery Showroom）と、口コミで大人気のTikTokスリフター（TikTokで古着ファッションを配信する人）であるエマ・ローグが設立したローグ（Rogue）です。この2店舗が並ぶ通りは、すでに「TikTokブロック」と呼ばれています。

The close proximity of the stores was no coincidence, Emma tells i-D. Already friends, Matt had let Emma know about a vacancy next door after Bowery Showroom’s opening weekend (where Emma sold some of her vintage finds on consignment). The following Monday, in the first week of May, Emma was visiting the space, speaking with a realtor about the storefront and looking over the lease. “I started moving everything in on May 16, so it all happened literally within a month,” she says. Emma officially opened Rogue on June 5.

実は、この２つの店舗が至近距離なのは偶然ではありません、とエマはi-Dに語りました。すでに友達同士だったマットは、バワリー・ショールームを開店した直後の週末、その隣が空き店舗になっていることをエマに知らせた（エマは、ヴィンテージの掘り出し物の一部をバワリー・ショールームで委託販売していた）。その翌月曜日、5月の第1週に、エマはそのスペースを訪れ、不動産業者と賃貸契約について話しました。エマは「私は5月16日に引っ越しをはじめたので、すべてが文字通り1か月以内に起こりました」と言い、6月5日に正式にローグをオープンしました。

（中略）

“The TikTok algorithm is really insane, there's nothing like it,” Emma says. “With geolocation, you can touch so many people in a centralised area.” Emma notes that they had close to 400 people show up at Rogue’s launch day, forming a line that snaked around the block, waiting to purchase the store’s vintage pieces — all handpicked and sourced by Emma herself.

「TikTokのアルゴリズムは本当に正気ではありません（そのくらい優れています）。他にそのようなものはありません」、「ジオロケーションを使用すると、一元化されたエリアで非常に多くの人々に触れることができます。」 とエマは言います。エマは、ローグの開店日に、400人近くの人々がお店に現れ、ブロックの周りを蛇行し、店のヴィンテージ商品（すべてエマ自身が厳選して調達したもの）を購入するのを待っていたと述べています。

…などと、特に、ソーシャル・メディアの影響が大きいと思われるローグ（Rogue）に注目しつつ、この2店舗がこの場所に相次いでオープンした背景や、TikTokの影響力などについて取り上げております。

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2021年6月5日に開店したビンテージ店、ローグ（Rogue）の入り口に立つ
エマ・ローグ（Emma Rogue）さん

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エマ・ローグ（Emma Rogue）さんは、
もともと個性豊かなファッション・アイテム専門のオンライン再販（リセール）サイトの"depop"上にバーチャルのお店（https://www.depop.com/emmarogue/）を持ってましたが、TikTok他SNS上での人気を背景に実店舗をオープンしました

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TikTokインフルエンサー、エマさんのローグ（Rogue）やTikTokで有名なデザイナー、マットさんのバワリー・ショールーム（Bowery Showroom）などの
ニューヨークの古着屋さん、ビンテージ店の場所や情報がわかる地図…

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NYC Vintage Map（https://nycvintagemap.com/）というサイトもあります

さらに、そもそもなぜ、エマさんが個性豊かなファッション・アイテム専門のオンライン・ショッピング・サイトの"depop"上にバーチャルのお店（https://www.depop.com/emmarogue/）を持つようになったのか、については：

FROM TIKTOK TO THE LOWER EAST SIDE, EMMA ROGUE IS BUILDING A VINTAGE FASHION EMPIRE - The 25-year-old is turning her online success into an IRL business. [Jun 21, 2021/ Hypebae]
TIKTOKからローワー・イースト・サイド（の実店舗）へ、エマ・ローグはヴィンテージ・ファッション帝国を築いています - 25歳の彼女は、オンラインでの成功をIRL（In Real Lifeの略語、実生活の）ビジネスに変えています。

…の中に、幼少時代の頃からの可愛らしいエピソードも交えて詳しく出てまして、ソーシャル・メディアの時代のサクセス・ストーリーとか、個性的な起業家の成長物語の１つとして、とても興味深いのです。

ちょっと長くなりますが、以下、その物語の一部をご参考まで：

Emma Rogue is well-versed in the art of the thrift. Growing up in Jersey City, she and her mom would visit their local Unique Boutique — a fabled chain of vintage clothing and trinket stores, now defunct — after school or gymnastics practice. “My mom always loved looking around at all the knickknacks. It was a fun activity for both of us to do together,” Rogue reflects.

エマ・ローグは古着（英語では、Thrift、直訳すると「倹約」）の芸術に精通しています。（NYからハドソン川を渡った対岸、NJ州の都市の）ジャージー・シティで育った彼女と彼女のお母さんは、学校が終わった後や（習い事だった）体操の練習を終えた後、地元の「ユニーク・ブティック」（古着や小物の伝説的なチェーン店、現在は閉店）を訪れるのがお決まりでした。「私の母はいつもすべての小物を見てまわるのが大好きでした。それは、母と二人で一緒にする楽しい活動でした」とローグは振り返ります。

Back then, Rogue wasn’t thrifting for hidden gems or buried designer, the purpose of most secondhand sellers nowadays. For her and her mom, visits to Unique were a bonding experience, as well as a chance to restock her childhood wardrobe. But as Rogue grew up, her shopping trips soon evolved as she realized her thrift store knowhow could translate into a full-blown business.

当時、ローグは、（現在、ほとんどの中古販売者が目的にしている）中古品販売のために、埋もれた宝石や隠れたデザイナーの古着を集めていませんでした。彼女と彼女のお母さんにとって、「ユニーク・ブティック」を訪れることは、絆を深める体験であり、彼女の子供時代のワードローブ（衣装タンス、衣装部屋）を補充する機会でもありました。しかし、ローグが成長するにつれて、リサイクル・ショップ（古着屋、原文は”thrift store”）のノウハウが本格的なビジネスにつながる可能性があることに気づき、彼女の買い物旅行はすぐに進化しました。

When Rogue started college at NYU, she developed an interest in fashion, a natural progression from her afternoons spent shopping in Jersey. While perusing secondhand stores in New York City, Rogue would come across clothing she loved that wasn’t in her size — “I was thinking to myself, ‘Man, I know somebody would love this but, but it won’t fit me,’” she recounts.

ローグがNYUで大学生活を始めたとき、彼女はファッションに興味を持ちました。それは、ジャージーで（母親と一緒に）お買い物をしていた（幼少時代の）午後からの自然な進歩です。ニューヨーク市の古着屋をよく訪れるようになって、ローグは自分のサイズではないものの、自分の好きな服によく出くわすようになりました。 — エマは、自分にこう言ってたことを思い出しました「そうよ、誰かこれを大好きな人がいるはず、私のサイズにはあわないけどね」。

In 2018, Rogue made an account on Depop, the rapidly expanding resale app that Etsy recently acquired for a whopping $1.6 billion USD. She listed two pairs of vintage Skechers. Both sold the same day. From there, Rogue’s online business took off. At her mom’s behest, she started tracking her expenses and profit on a spreadsheet. Rogue eventually began working at Depop’s brick-and-mortar store in New York, helping customers and appearing as a regular fixture on the app‘s Instagram Stories.

2018年、ローグは（個性豊かなファッション・アイテム専門のオンライン・ショッピング・サイトの）”Depop”のアカウントを作成しました。これは、Etsyが、最近16億米ドルで買収した、急速に拡大している再販アプリです。彼女は2組のヴィンテージ・スケッチャーズをリストしました。両方とも同じ日に売れた。そこから、ローグのオンラインビジネスが始まりました。彼女は母親から言いつけに従い、スプレッドシートで経費と利益を記録し始めました。 Rogueは最終的に、ニューヨークにあるDepopの実店舗で働き始め、顧客を支援し、アプリのInstagramストーリーに定期的に登場しました。

Then, the pandemic hit. One day in May 2020, Rogue was scrolling on TikTok, the short form video app beloved by Gen-Z’ers. The 25-year-old — who had scant experience making videos for the platform — came across a video documenting how one Depop seller packaged her orders. Rogue was inspired to make her own version of the clip. “I thought nothing of it, posted it that night at like, seven o’clock,” Rogue recalls. “By the next day, I hit over a million views on it. I gained 40,000 followers overnight.” Thanks to the power of virality, her post garnered seven million views and resulted in 300 Depop sales by the end of that week.

その後、パンデミックが発生しました。 2020年5月のある日、ローグはZ世代に愛されている短い形式のビデオアプリであるTikTokをスクロールしていました。プラットフォーム用のビデオの作成経験が乏しい当時25歳の彼女、つまりエマ・ローグは、あるDepop販売者が注文をどのようにパッケージ化したかを記録したビデオに出くわしました。 ローグは、自分なりの動画クリップを作成してみようと思いました。 「私はそれについて特に何も考えず、（さくさく作って）その夜の7時に投稿しました」、そして「翌日までに、100万回以上の再生回数を記録しました。一晩で40,000人のフォロワーを獲得しました。」とローグは回想します。口コミの力のおかげで、彼女の投稿は700万回の視聴を獲得し、その週の終わりまでに300回ものDepopの売り上げを達成しました。

As Rogue’s TikTok following expanded, she realized she could use her online fame to fuel her vintage retail business. It started with a stint selling clothing on consignment at Bowery Showroom, a concept store and vintage retailer on Manhattan’s Lower East Side — while helping promote the store on TikTok, she came to the realization: “Why am I promoting other people’s shops when I can be promoting my own space?” Matt, the owner of Bowery Showroom, alerted Emma of a vacant storefront down the block. “He said, ‘If you don’t get it, I’m gonna make it my office.’ So literally the next day, I called the realtor.” In a matter of weeks, Rogue negotiated, signed a lease and set up shop on Stanton Street, which she fondly refers to as “TikTok Block.” Rogue, the store, was born.

ローグのTikTokのフォロワー数が増え続けるにつれ、彼女は自分のオンラインでの名声を利用して、ヴィンテージの小売ビジネスをさらに勢いづけられることに気づきました。それは、マンハッタンのローワー・イースト・サイドにあるコンセプトストア兼ヴィンテージ小売店であるバウリー・ショールーム（Bowery Showroom）で委託販売により衣料品を販売することから始まりました。彼女は、TikTokでこのお店の宣伝を手伝いながら、次のことに気づきました。「どうして私は他の人のお店の宣伝をしているのだろう、その気になれば、自分のお店の宣伝をできるときに…？」Bowery Showroomのオーナーであるマット（Matt）は、すぐ近くに空いている店舗スペースがあることをエマに伝えました。「彼は、『もし、君がその空き店舗を使わなければ、ボクが自分のオフィスにするけどいいの？』と言ってきて、それで、文字通り翌日、私は不動産業者に電話しました。」数週間のうちに、ローグは交渉し、リースに署名し、スタントン・ストリート（彼女はこの通りを愛情を込めて「TikTokブロック」と呼んでいます）にショップを設立、そして、この注目のお店、ローグ（Rogue）が誕生しました。