前回の補足で、ジョン・レノンさんが、実は、般若心経を心の支えにしていたというお話。その影響の最も分かりやすい例が、ジョンさんの名曲『イマジン』(Imagine)。「天国も、地獄も、国境もない…」などと前提になっている常識を越えている感じとか、平和な世界観が、般若心経に通じていると言われています。
実は、般若心経は”Heart Sutra”(ハート・スートラ、直訳すると「心の経典」)と呼ばれ、海外でも根強い人気を集めているんですよ。人気のカギは、繰り返される「無」の文字。般若心経には「無」が21回も出てきまして、例えば:
無眼耳鼻舌身意
むげんにびぜつしんい
無色聲香味觸法
むしきしやうかうみそくはふ
という部分(これだけで世界の全てを表しています)は、英語に訳すと次のようになります:
No eye, no ear, no nose, no tongue, no body and no mind.
No shape, no sound, no smell, no taste, no feeling and no thought.
このように、全ての固定観念を「無」ととらえることで、今、自分が持っている考え方や世界観の枠組みは、ひょっとしたら間違っているのかも?…と、それをいったん壊したり、別の視点から見れるようになったりして、他の新しい枠組みが生まれてきます。
つまり、創造、想像(=Imagine)する力、パワーが生まれてくる。
そのため、般若心経は宗教の域を越えて心にパワー、元気や勇気を与えてくれるアイテムのようなものとして、世界中に広まってるそうです。
それから、もう1つ重要なポイント。『イマジン』の歌詞の中で唯一あるとされていた「空」について。
「固定観念をリセットし、新しく考え直す」という、般若心経の教えの革新的な思想になっているのが、「空」(くう)です。専門家の先生によると、「空」(くう)とは、移ろいゆく世界をつかさどる法則のこと。それが何かはまだ誰も説明できない、何もないように見えるけれど、確実にそこに存在すると感じられる法則なのだそうです。例えば、般若心経には次のような言葉が出てきます:
五蘊皆空
ごうんかいくう
意味は、この世の全ての存在や現象は、実体などなく全てのものは「空」であるという仏教の言葉。 「五蘊」は人の体と精神を構成する五つの要素のこと。 全ての物質をいう「色」、感覚をいう「受」、心の中に浮かぶ像をいう「想」、欲求をいう「行」、意識をいう「識」の五つ。
…というワケで、こうした内容をより分かりやすく説明してくれるNHK『100分de名著』の般若心経の放送回などを、以下、ご参考まで。
般若心経の最初の部分はこんな感じ
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