日経MJ2017年ヒット商品番付の東の横綱に選ばれた
「アマゾン・エフェクト」(Amazon Effect)。日本では、「アマゾンがあらゆる企業・産業をのみ込むことを意味する造語」(
日経新聞)「アマゾンの急成長に伴い様々な市場で進行している混乱や変革などの現象」(
野村証券)等々、ネガティブな意味で用いられる傾向がありますが、最近、アメリカではその真逆に?!
例えば、2017年10月、CNNは「
アマゾン・エフェクトでホール・フーズが6,000人を雇用」(
The Amazon effect: Whole Foods to hire 6,000 workers)と報道。
アマゾンが競合他社を飲み込み、多くの小売店舗やショッピング・モールなどが閉店して大量の失業者が出た、アマゾン・エフェクトは大問題だ・・・などとニュースになってるわりに、
実は、近年のアメリカ全体の失業率はずっと減少トレンド(”US unemployment rate”で検索するとすぐ確認できます。なお2017年10月時点の4.1%は80年以降の米国では最良水準、これより良いのは
2000年のみ3.97%のみ)。そう、実際には、雇用は減っているのではなく増えていると考えられ、
これはつまり『雇用の転化』が起こっていると推察されます。
閉店する既存のリアル店舗の動向は、昔から継続して調査してきた統計データが存在するため注目が集まりやすく、その一方で、
新たに生まれたばかりの職は、単純に、まだ調査対象になっていないのでなかなか見えてこないので、本当に何が起こっているのかの全体像が見えにくい・・・という現象が起こっているようです。
そんな背景からアメリカでは、『アマゾン・エフェクト』への注目が高まるにつれ、多くの小売店舗やショッピング・モールなどが閉店して大量の失業者が出た・・・という表面的なほんのごく一部、氷山の一角にしか過ぎない事象ではなく、本当に何が起こっているのかを探る動きへ。
例えば、2017年9月、NYタイムズは「
アマゾンがロボットを進化させ、労働者は新しい役割を見つける」(
As Amazon Pushes Forward With Robots, Workers Find New Roles)と題し、アマゾンの倉庫を例に挙げ、ロボットに職は奪われず、むしろロボット・オペレータなど新しい役割の雇用を生むと報道。
また、今週、2018年1月15日には、ついにCBSニュースが
「なぜ小売業種の雇用は死んだと大袈裟に誇張されるのか」(
Why the death of retail jobs may be greatly exaggerated)と、真正面から、アマゾン・エフェクトなどの影響で、小売業界でのリアル店舗の閉鎖や失業が過剰に誇張されているとの問題を取り上げております。
今さら説明するまでもなく、
アメリカ経済や社会を動かし、アメリカ文化を創り出す『アメリカの小売業界』で本当に何が起こっているのか正しく把握することは、極めて重要。さて、今後、どういう展開になっていくのでしょう。興味津々。
以下、アマゾン・エフェクトのネガティブな側面が大袈裟に誇張されるようになった原因と考えられるデータ例。ほんのごく一部ですが、ご参考まで。
A Review of 2017’s Record US Closures
2017年に米国で閉店・開店した小売店舗数数
by fung global retail & tech
2016 Major US Store Openings and Closures
2016年に米国で閉店・開店した小売店舗数数
by fung global retail & tech
2017年5月、クレディ・スイス(Credit Suisse)が
「2022年までの5年間に米国内にある1100のショッピング・モールの
20~25%となる220~275が閉鎖する」と発表しニュースに
【ご参考記事】
■The Amazon effect: Whole Foods to hire 6,000 workers[October 27, 2017 - CNN]
■As Amazon Pushes Forward With Robots, Workers Find New Roles[SEPT. 10, 2017 - NY Times]
■Why the death of retail jobs may be greatly exaggerated[January 15, 2018 - CBS News]
【アマゾン・エフェクト関連ログ】
・
アメリカで再考される『アマゾン・エフェクト』の本当の姿
・
Amazon Effectの事実:若い世代ほどリアル店舗をより訪れるようになった?!
一応、日経MJの2017年ヒット商品番付の東の横綱、つまり、もっとも重要なヒット商品に選ばれているとは言え、日本では、まだ、『アマゾン・エフェクト』(Amazon Effect)という言葉自体、今回、はじめて聞いたよー・・・という方も、結構、多いと思います。今の時代を語るうえで重要なキーワードの1つですので、覚えておくとよいでしょう。
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