

すでに米国内はもちろん、世界的な大ニュースになってるのでご存知の方も多いと思いますが、2017年5月25日(木)、Amazonが
「アマゾン・ブックス」(Amazon Books)ニューヨーク1号店をオープン!! 場所は、コロンバス・サークル(左地図参照)。インターネット上のバーチャル空間のお店じゃなくて、Amazonのリアル店舗が、ついにニューヨークに上陸!!

アマゾン・ブックスは全米にすでに6店舗あり、これが7店舗目。一見すると普通の本屋さんのようみ見えますが、これまでの本屋さんとは根本的なビジネスモデルが多々異なります。
例えば、アマゾン・ブックスではすべての本にAmazon.com上のユーザー・レビュー、全レビュー数、平均スコア(★印)が書かれたカードが添えられてます。あっちにもレビュー、こっちにもレビュー。手間かかりそう。
そんなレビューのついた本が、店内に3000冊ほど販売されてるそうですが、Amazon.comで平均スコア4.0以上じゃないと取り扱われないのだとか。そうなんです。このお店、アマゾン・ブックス副社長のJennifer Castさんも
ご指摘の通り、
「インターネット上のアマゾンの『あなたへのお勧め』を現実化したような感じ」(
It’s like a physical version of Amazon’s “Recommended for you.”)になってるんですよ。
言葉で説明するより実感して頂いた方が良いと思いますが、たぶん、ハードカバー本がずらりと並んだアマゾンの『あなたへのお勧め』リアル版は、本好きな方々にはたまらない光景かも?

その他、アマゾン・ブックスがこれまでの本屋さんと異なる点としては、支払いに現金を受け付けないこと!! クレジットカード、または専用アプリ(
The Amazon App、結局、支払いはクレジットカードになります)のみ。これはかなり大胆な戦略と言えるでしょう。
また、本の値段設定も、アマゾン・プライム会員(
Amazon Prime)とそうでない方では、同じ本でも2倍くらい違います。例えば、定価40ドルの本がアマゾン・プライム会員だと半額の20ドル、そうでない方は定価のまま…という感じ。ちなみに現在、プライム会員の会費は年間契約ですと1年辺り99ドル。1年間に定価40ドルの本を半額の20ドルで5冊買ったら元が取れる計算。他のサービスも考慮すると安いと感じるくらい。

もう1つ、アマゾン・ブックスのユニークな特徴を挙げると、店舗スペースの2割くらいが
様々な最先端テクノロジーを駆使したガジェットのショールーム化してるってこと。
そこで、Amazonの
人工知能と連動した音声認識パーソナル・アシスタント端末、Alexa(アレクサ)や、その他様々なガジェットを展示&販売。実店舗じゃなきゃできないことは多々あるわけで、アップルストア的というか、体験型店舗というか、ここで何かはじめそうな雰囲気・・・。
とまぁ、ここまでアマゾン・ブックスの一般的に報じられている基本スペックをざっとご紹介してきましたが、アマゾン・ブックスに注目すべき本当の理由は、そこではないような気がします。
長くなり過ぎるので詳しくは改めてメルマガとかで書こうと思いますが、
少なくても以下の2つの時代の流れを根底からひっくり返すかもしれないからです。
- 時代の流れの1つ目は、これはほとんど全く日本で報じられてませんが、米国、特にNYでは電子書籍時代でも街角の小さな本屋さん人気が上昇、だいたい2007年以降くらいから、デジタルに対するアナログ文化の復興の動きがみられ、小規模ならではのそれぞれ独自の個性を発揮し、本当の本好きならではの本の品揃えや、地域に根ざした魅力作りに成功し、もはや『デジタル出版が広まったことで、地元の小さな本屋さんが勝利する?!』なんて分析まで出るようになってたんです。これがアマゾン・ブックスの登場でどうなるか?
- もう1つは、もともと実店舗を必要としなかったはずのEコマース企業が、実店舗を出すようになった流れ。Etsy、Boohooのポップアップ・ストアから、Warby Parker、Birchboxの常設店、その他なんじゃかんじゃとEコマース企業がリアル店舗を出す事例は多々あって様々な手法が試されてきましたが(たまたま偶然、ちょうど6月1日発売の月刊「事業構想」2017年7月号にこのあたりをまとめた記事(『NYで強まる「リアル店舗」への回帰、「体験」の再評価』)を寄稿しています、こっちの情報も日本ではほとんど報じられてないかもしれません)、今回、Eコマースの世界王者、アマゾンが実店舗を出したことで、どういう影響が出てくるのか?
そんなわけで、まぁ、少なくてもこの2つの時代の流れを分かっていないと、アマゾン・ブックスの本当の意義やインパクトについて正しく理解できないんじゃないかなと思うんですけどね。
以下、ご参考まで。
インターネット上のAmazonで人気&オススメの本がずらり
インターネット上と同様に、If you like(もしこの本が好きなら)、
You'll Love(この本を好きになるでしょう)
選りすぐりのオススメ本がいっぱい
高く評価された本コーナー(★4.8以上)
さっすがハミルトン!!!
支払いはクレジットカードか専用アプリで
こんな感じでお試し用のキンドルが
本の値段チェック用の機械
プライム会員だと定価40ドルの本が約半額に
専用アプリ使えばすぐ値段分かります
こんな感じ
最先端テクノロジーを駆使したガジェットのショールーム・スペースも
いろいろあって楽しいです
タイム・ワーナー・センター内
〔ご参考〕
・
https://www.amazon.com/b/?node=13270229011:公式
【追記:参考記事】
・
NPD Reports Growth In U.S. Print Book Sales For The Fourth Consecutive Year[May 2, 2017 - NPD]
~米国では4年連続して紙の本の売り上げが増えている
・
Indie Bookstores Hold Steady in Tough Retail Market[May 30, 2017, - US News]
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