興味深い記事を1つ。ここ数回、ニューヨークの街角を彩る老舗デパート等の煌びやかなホリデー・ウィンドウを続けていくつかご紹介してますが、
『このデジタル時代に、なぜホリデー・ウィンドウが売上げアップに貢献するのか?』(
In Digital Age, Holiday Windows Still Drive Sales)という素朴な疑問を、NYとロンドンのバリバリの業界関係者にインタビューしたBusiness of Fashionのもの。
まず、こうしたホリデー・ウィンドウの多くは、丸一年もの時間と大勢の人手、そしてお金をかけて作られるのですが、その費用対効果は?という質問。
これについては、業界関係者の皆さん「十分にある」とのお答え。
それは当然のこととして、皆さん「ホリデー・ウィンドウには、売上げアップだけでなくもっと重要なことがある」との見解を結構詳しく語ってくれてます。
例えば、『体験』を提供する重要性。
インターネットが普及し、Eコマースでの購入やバーチャル体験などがとてもお手軽になった結果、実際にその場に行かないと得られない『体験』の価値や意義が、急速に高まってきた・・・というのは、数年前から、小売業に限らず
最先端のアートの世界でも常識になってきましたが、この記事では、さらに深くつっこんで『なぜ、体験が重要なのか?』についての業界のプロの方々の声を掲載。
例えば、
バーグドルフ・グッドマンのリンダ・ファーゴ(Linda Fargo)上級副社長さんは:
"It’s rooted in memory and simple pleasures, like delight and surprise, especially important emotions during the festive season."
「それ(体験)は、人間の記憶や、ホリデー・シーズンには特に大事になってくる喜びや驚きのような感情や本能的な快感に直接訴えかけるのです。」
とのこと。他の方々も口々に、人間が人間である以上、本能的に喜びや驚きといった『体験』を求めており、そうした体験ができる良質な機会を提供することの意義やインパクトは、売上げアップ、ブランド・イメージの向上、消費者との信頼関係の構築など等、様々な面において極めて大きい、と語っております。うーむ。
さらに、
「そもそもホリデー・ウィンドウを伝統的なものだからといって、デジタル時代のものじゃないと考えるのが間違ってる」との指摘も・・・。
実際、この時期、インターネット上のテレビ、新聞、雑誌など各種メディアのサイトや、個人の InstagramやFacebook他SNS上には、これ以上拡散してるデジタル・コンテンツはないんじゃないかってほどホリデー・ウィンドウ関連の写真や情報が大量に出回っています。
ひょっとすると、リアルでアナログな『実体験』は、やり方次第でデジタル時代を制する最強の武器になるのかも???
そう言えば、ここ数年、ニューヨークでは、店舗を持たずにオンライン販売だけで成長してきたお店が、店舗をオープンする事例が続出中。
例えば、英大手ファスト・ファッション小売サイトの
Boohoo、米国ハンドメイド・マーケット最大手の
Etsyなどの期間限定のお店とか、さらにコスメ販売の
Birchboxやメガネ販売の
Warby Parkerらの常設店舗など等。
たぶん、こうした状況をよくご存知なのでしょう。
冒頭の記事では、クリスタル・ガラスの一流ブランド、スワロフスキー(Swarovski)の創業者一族で役員でもあるNadja Swarovskiさんの「現在の小売環境では、オンラインとオフラインの境目は過去になかったほどますます曖昧になってます」とのご指摘も取り上げ、そのうえで:
"It’s important for brands to continue inspiring people in the real world, as well as providing engaging information and experiences online, so that consumers feel confident with their choices."
「ブランドにとっては、消費者が彼らの選択に自信を持てるように、オンライン上だけでなく実際の世の中で人々をインスパイアし続けることが重要です。」
などと語っております。小売業界やマーケティング関係者は必読かと・・・。
〔ご参考〕
・
In Digital Age, Holiday Windows Still Drive Sales[business of fashion: DECEMBER 4, 2015]
【NYのホリデー・ウィンドウ特集】
・
老舗高級デパート、バーグドルフ・グッドマンのホリデー・ウィンドウ2015
・
サックス・フィフス・アベニューのホリデー・ウィンドウ 2015
・
ブルーミングデールズのホリデー・ウィンドウ(表側) 2015
・
スター・ウォーズなブルーミングデールズのホリデー・ウィンドウ(裏側) 2015
・
バーニーズ・ニューヨークのホリデー・ウィンドウ 2015
・
今年NYでベストに選ばれたロード&テイラーのホリデー・ウィンドウ 2015
・
メイシーズ本店のホリデー・ウィンドウ 2015
前回、ロード&テイラー(Lord & Taylor)のホリデー・ウィンドウをご紹介した際、「場所がミッドタウンの5番街の中心部から離れた38~39丁目間ということで比較的空いてます」とか書きましたが、この記事に登場するロード&テイラーの担当部門副社長のRoe Palermoさんによると「毎日、50万人超の人々がうちのホリデー・ウィンドウを見にいらっしゃいます」とのこと!!! これが本当なら、バーグドルフやサックス・フィフスやメイシーズあたりなら、たぶん軽くこの倍、あるいは数倍もの人々が訪れてるということなのでしょう。すごい。
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