音楽コンサート、
映画、
ダンス、
ミュージカル、
演劇・・・様々なイベント盛りだくさんの夏のニューヨーク。本屋さんも負けてません。先日、全米展開する大型書店チェーンのバーンズ&ノーブル(Barnes & Noble)に行ったら、"
Get Pop-Cultured"との看板が・・・。夏休み特別企画? いつもと違う展示もいろいろ出てまして、1階中央部の一番目立つ場所にどーんとあったのがコレ。な、なんと、今どき、レコードのコーナー!!!
英語では、レコードのことをよく"Vinyl"(ビニール)と呼びますが、このコーナーにも大きく"Vinyl"の文字、そしてレコード型のPOPまで!!! わざわざ作った?! 新しく??
iPodやiTune Storeの登場以降、『音楽のデジタル化』は急進。
一方、アナログなレコードは衰退トレンド。たぶん、レコード・プレーヤー持ってないって方も多いでしょう。それにも関わらず、ここにきてバーンズ&ノーブルで、まさかのレコード推し。
気になって調べてみると、やっぱり、バーンズ&ノーブルが今年から改めてレコード販売に力を入れると
ニュースになってます。公式サイト上に、”
bn.com/vinyl”という特設ページも。また、レコードだけ売っても、レコード・プレーヤーがないと聴けませんから、もちろん、プレーヤーも一緒に販売。しかも、USB端末でコンピューターや各種電子機器に接続できる最新テクノロジー搭載。うーむ。単純なリバイバルってことではないみたい。
まぁ、デジタル化が進んでいるのは、音楽だけじゃないですからね。本だって、AmazonのKindleやiPadなどが普及するにつれてどんどんデジタル化。
今年6月、
全米最大の出版業界の展示会、"Book Expo America"の際にもまとめたとおり、特にアメリカでは、「パピルスからピクセルへ・・・」と書籍のデジタル化は世界最先端。
2017年には、紙の本(いわゆるPrint)とデジタル化された出版物(いわゆるeBook)の市場規模が同じになる!!という予測も。
そんな背景から、一時、アメリカの都市部にある小さな街角の本屋さんは危機的な状況を迎えましたが、ピンチをチャンスに変え、だいたい2007年以降、小規模ならではのそれぞれ独自の個性を発揮し、本当の本好きならではの本の品揃えや、地域に根ざした魅力作りに
成功。最近では、もはや『デジタル出版が広まったことで、地元の小さな本屋さんが勝利する?!』なんて
分析まで・・・。
でも、それじゃぁ、バーンズみたいな大型書店チェーンはどうするの???
そうなんです。大型書店チェーンは、個々が独立した街角の本屋さんのような小回りがきかず、店舗ごとの独自性も発揮しにくいうえ、かつて強力な武器だった豊富な品揃えも、結局、Amazonのようなネット書店にかなわない・・・ということで、大ピンチに。
実際、2011年には、大型書店チェーンのボーダーズ(Borders Group、1971年創業の老舗)が倒産。
生き残りをかけたバーンズは、近年、大型書店チェーンならではの戦略をコツコツ進めておりまして、
『バーチャルに対抗するリアルな体験の場』、つまり、広い店内を活用し、著者による講演会やサイン会(
渡辺謙さんも「王様と私」のアルバムCD発売記念で登場)や、店舗の
近隣地域のためのイベントなどを開催してきたのですが、どうやらそこからさらに飛躍して、デジタル化が進んだ結果、取り残されがちな
『デジタルに対抗するアナログ文化の保護、育成、普及の場』としてのブランディングとか、ポジショニングを強めようとしてるみたい?
確かに、それがうまくいけば、デジタル化が進めば進むほど逆にアナログ文化の拠り所としてのバーンズのイメージや価値や意義も、自然に高まる可能性はあるでしょう。また「バーチャ vs リアル」に加え「デジタル vs アナログ」の対立軸を使えるようになると、よりインパクトの強い企画も考えやすいし、作りやすいかも。ほほぉ。実に興味深いマーケティング戦略。
そんな戦略の一端が、このレコード販売の復活ということなのかも。以下、ご参考まで。
久しぶりにバーンズでこういうレコード・ジャケット見ましたプレーヤーも販売してます〔ご参考〕
・
http://www.barnesandnoble.com/b/the-vinyl-store/_/N-1p2a:バーンズのレコードのページ
【関連過去ログ】
・
パピルスからピクセルへ・・・デジタル出版で激変中の米出版業界 @Book Expo America[2015-06-09]
・
電子書籍時代に、NYで街角の小さな本屋さん人気が上昇中なわけ[2010-09-18]
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