

興味深いニュースを1つ。最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファストファッション(fast fashion)がすっかり定着したこの時代に、小規模工場のミシンで製品を手作りする創業100年ほどの老舗ファッション・ブランド(例えば、L.C. King Manufacturing、Dickies、Carhartt等)が、
今、最もカッコいい服!!!とアメリカで復活の兆しをみせているのだとか?!

例えば、L.C. Kingでは、かつて130名ほどいた社員が、いわゆるブルー・カラー・ワーカーと呼ばれる労働者の減少や、1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)でメキシコから安い輸入品が急増した影響もあって、2007年にはたったの8名に。
手工業的な老舗ファッション・ブランドでは50ドルくらいの定番ジーンズが、ファスト・ファッションでは半値とかもっと安かったりしますからね。
そんなわけで老舗は軒並み絶滅の危機・・・。
ところが、徐々にですけど確実に、そんな手工業的な老舗ファッション・ブランドの製品が「丈夫で長持ちしてカッコいい!!!」と再評価されるトレンドが幅広く拡大してきたのです。中でも、社会への影響力の大きさから、近年、ますます注目の『ミレニアルズ世代』(Millennials、主に2000年前後以降に成人を迎えた世代、広くは1980年前後~1990年代中頃生まれも含む)の間で、
「大型ボックス店で買ったファスト・ファッションの服はすぐに痛んでダメになるのに、なんで、おじいちゃんの着てるジーンズやジャケットとかはずっとカッコいいの? いや、むしろ時が経つほどいい感じで年季が入って、超カッコよくなってない?」
・・・って声が広まっているのだとか。いくら安くてもすぐダメになるものより、長く使えて、年季が入るとさらにカッコよくなる方が良いというわけです。

特に、L.C. Kingは、日本人の救世主?!によって救われたなんて見方も。
その救世主とは、日本を代表する世界的ファッション・ブランドのコムデギャルソンの取締役副社長で、JUNYA WATANABE COMME des GARCONS MANなど手がけるファッション・デザイナーの渡辺淳弥さん。
2013年頃にコラボが実現。1つ800ドルもする高額商品まで売れてるのだとか。このコラボの成功がキッカケとなり、米国メディアでは"
A Tennessee Clothing Factory Keeps Up the Old Ways"、"
Farmwear Goes High Fashion"等など、好意的な関連報道が急増し、L.C. Kingだけじゃなく、アメリカ国内にある手工業的な老舗ファッション・ブランド全体を再評価するトレンドへの新たな追い風になっていみたいです。
実際、改めて見てみると、アメリカ国内にある手工業的な老舗ファッション・ブランドには、いろいろ個性的で魅力的なものもいっぱい。

例えば、1897年創業のFilsonは、創業時から同じデザインのジャケット(Mackinaw Cruiser)を販売し続けているんですって。この赤と黒のチェック柄のジャケット、見覚えがある方も結構いらっしゃるでしょう。
他にも、例えば、1889年創業のCarharttも、近年、再評価が高まって、2011年にはニューヨークのSOHOに直営店をオープン。
Carharttって外国のブランドのお店かと思ったら純国産(米国産)、しかも老舗なんですね。このお店では、もともとヨーロッパ市場向けに開発したデザインを都市生活者向けに改良した商品を取り扱ってるのだとか。へぇー。
さらに1922年創業のDickiesは、「丈夫で長持ちする服じゃないとぜんぜん話にならない・・・」という本格派志向のスケート・ボーダーの方々を中心に再評価され人気が定着。
米国のスケート・ボード・チームやスケボ関連イベントのスポンサーなどにもなってまして、古くから続く老舗ブランドにも関わらず、若い世代の間でも広く知られるようになったのだそうです。
数年前(特に2012年頃)から、アメリカでは家電メーカーなどを中心に「
中国から生産拠点を国内に戻すインソーシング」がトレンドになってたりもしますので、そっちの動きとも合わせて考えてみると、さらにいろいろ気づくことや発見もありそうな気がします。
米国で復活する老舗ファッション・ブランドの例
Pointer Brand - Behind the Scenes in the Factory, Bluegrass Music Video
工場の生産工程を紹介するミュージック・ビデオ
L.C. Kingの公式YouTubeチャンネルより〔ご参考〕
・
www.pointerbrand.com:L.C. King Manufacturing Co公式
・
www.filson.com:Filson公式
・
www.carhartt.com:Carhartt公式
・
www.dickies.com:Dickie公式
・
How Yesterday's Blue-Collar Brands Became Today's Coolest Clothes Dickies and Carhartt move from factory floor to millennial closet[Adage: January 12, 2015]
アメリカよりも長い歴史を持つ日本には、昔からずっと続いている老舗のブランドとかお店などはもっとずっといっぱいあります。このアメリカの事例が、そんな日本の皆さんの何かのご参考とかお役に立てたら嬉しいです。あと、特に、L.C. Kingの救世主と崇め奉られてるのが日本人デザイナーの渡辺淳弥さん・・・の部分、これは同じ日本人としては、皆さん、たぶん、いろいろなアイデアや発見など思いつかれるでしょう。
※コメント欄にはログインが必要です。お手数をおかけしますが、ExciteホームでID登録しブログトップでブログを開設してからログインください。既に登録済みの方はそのままご利用頂けます。
「人気blogランキング」