「どうやったら英会話ができるようになるの?」というご質問を頂戴しましたので、今日は私の師匠から教えてもらった裏業を1つ教えちゃいます。題して、簡素化で学ぶ英会話。
どういうことかというと、日本語の表現を一旦、シンプルな、本質的な意味に噛み砕いて(=簡素化して)、それをそのままシンプルな英語に置き換え、そこに改めて英語特有の表現を付け加えていくという方法です。
例えば、「私は物覚えが悪い」という日本語の表現なら「私は時々忘れてしまう」というシンプルな意味に一旦噛み砕いて、これを”I sometimes forget.” などのシンプルな英語に置き換えます。さらに”I sometimes forget.”を今度は英語特有の表現や言い回しで味付けをし、「生きた英語」にしてみます。例えば、”Sometimes I forget. Sometimes I remember…”(私は時々忘れるし、時々覚えている…)というような感じです。これだと次の文章へ展開しやすいはずです。
ポイントは、「私は物覚えが悪い」を直接英語に置き換えないということです。”I am not good at remembering things that I should remember.”とやっても間違いではないのですが、日本語の表現をそのまま英語にすると回りくどくなって、何が言いたいのかが分からなくなってしまうことが多いのです。また、政治家とかがよく使う「誠に遺憾に存じます」とかいう表現から業界用語やコギャル言葉などに至るまで、日本語の表現には「言葉遊び」の要素が強く、このノリで英会話をしようと思っても難しくなります。
以前、どこかでご紹介したと思いますが、日本人の20代前半の女性とおじさんの会話にこんなものがありました。
女性「うちのおばあちゃん、文字フェチなんですよ。」
おじさん「文字フェチ?」
女性「本を読んだり、手紙を書いたりするのがすきなんです。」
おじさん「あぁ、活字中毒ね!」
とまぁ、こんな感じで、「言葉遊び」をしながら殆どの会話が成り立ってしまうのです。英語で会話すると、”My grand mother likes reading books and writing letters,…”という部分から入って、もっとお婆ちゃんやお婆ちゃんとこの女性の関係などをテーマにした会話になる気がしますが、日本語の会話では「言葉遊び」をすること自体が目的になってしまうことが多いようです。
TOEICやTOEFLのような世界的な英語の試験で日本人が極端に成績が悪い理由の一端はここにあるのかなと思います。日本人の大半の方々は少なくても中学・高校の6年間は英語を勉強していますし、本屋さんにいけば様々な種類の英語の教材があるわけで、それでも世界的に英語力が低いというのは普通に考えたら異常な現象です。つまり、日本語の表現自体から何かの影響を受けているとしか思えませんよね?
だけど、この問題点に気づいている方は殆どいません。
日本で学ぶ英語の授業では、日本語から英語、またはその逆の書き換えの練習をいっぱいしていますが、日本語自体をシンプルな、本質的な意味に噛み砕く練習をすることは殆どありません。もちろん、日本語を簡素化してみて・・なんて教えてくれる英語の先生もいません。逆に、日本語特有の表現を持ち出して、「これを英語で何と言う?」という本が売れたりしています。でも、これじゃ、単なる暗記でしかなく応用力がつきにくいでしょう。
英語の学習全般を、『日本語を簡素化する部分』と『英語特有の表現や言い回しを蓄積していく部分』の2つに大きく分けて考えてみると、日本語の言葉遊びという落とし穴に嵌らなくて済むようになるので、それだけで英会話が急速にうまくなる可能性があると思います。また、日本語、英語に関わらず、文章や会話の本質的な意味について考える癖がつくので、結果的に英文エッセーなどで大切な理論展開が上達することになります。一石二鳥の簡素化なのです。
『簡素化』のお話が分かりやすいと思ったのは、「英語で考える」ポイントを指摘していて、更に、日本語表現の問題点も説明してくれたためです。上の図で言うと、「本質的な意味」を「シンプルな英語」に置き換える流れが「英語で考える」部分。「本質的な意味」は頭の中にあるイメージでも良いのです。いずれにせよポイントは、日本語の表現にとらわれ過ぎたり、言葉遊びをしないこと(つまり、本質的な意味とかテーマをはっきりさせること)。自分が伝えたいメッセージが何なのか、よく考える習慣が身について、英語上達以外のいろんな部分にも副産物があるような気がします。
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