

前回、「
コンピューターが進化していくとどんな未来になるのか?」について、日本であまり取り上げられないけどアメリカでは広く知られる話題を交えお届けしましたが、今回は、インターネット、特に
ソーシャル・メディアが人類の未来へ与える影響。アラブの春と呼ばれる中東の反政府・民主化運動は日本でも報じられてるようですが、日本のお隣の国、中国で起こった極めて重大な意味を持つ、歴史に残るかもしれない重要な市民デモを1つご紹介しときます。

2012年7月1日~4日にかけて、地域の水源となる中国四川省の什邡市(しゅうほうし、英名はShifang)で、環境汚染を恐れる市民による工場建設に反対する大規模なデモが発生し、なんと市民側が勝利!!!
勝因は、ずばりインターネット、特にソーシャル・メディア。
警察が市民(女性や子どもも)を武力によって排除する様子の写真や動画を、現場にいた市民が中国の検閲システムが対応できないほど大量にweibo.comなどで拡散しまくった(4日間で525万件の投稿)結果、市民デモを支援する人々が急増。あっという間に中国政府側が工場建設を諦めるという展開に・・・。
共産党の一党独裁が続く中国では、市民によるデモは日常茶飯事。たいてい警察や軍に制圧されてしまうのがオチ。だから、この市民デモは歴史的な勝利。
なぜか日本国内ではあまりニュースになってませんが、欧米メディアでは”
Shifang protest”として大々的なニュースになりまして、特に、
ロイターが報じた一報の「これは私たちの7月4日、つまり独立記念日だ!!!」というアメリカの独立記念日にかけたブロガーの投稿は、中国共産党の終焉の予兆としても注目を集めることになりました。

また、この一件は、中国国内の民主化運動のシンボリックな出来事(しかもソーシャル・メディアが世の中を変えた具体例)であることから、一時的なニュース報道だけでなく、その後、欧米では何かと言うとちょいちょい話題に出てきます。
例えば、英経済専門誌「エコノミスト」の2013年の
ベストブック・オブ・ザ・イヤーとか、米経済専門誌「フォーブス」の
お勧めホリデー・リーディングにも選ばれている最新のテクノロジーの進歩が人類に与える影響をまとめた注目のIT本、"
Smarter Than You Think"(Clive Thompson著、245~250頁)とか。
ちなみに、この"Smarter Than You Think"は、インターネットとかソーシャル・メディアなどの最新テクノロジーや、それらに基づく私たちの「ソーシャル・シックス・センス」(social “sixth sense” )が人類の未来へ与える影響とか、実に興味深い内容でベストブック・オブ・ザ・イヤーとかになるのも納得。オススメ。
あと、日本人にとっては、欧米社会の特に有識者層が今の世界(中国とか)をどのように見ているかについても理解が深まって、そういう意味でも勉強になるかもしれません。入手できる方は年末年始の長期休暇中の読書に良いかも。
〔ご参考〕
・
http://smarterthanyouthink.net:"Smarter Than You Think"公式
なお、"Smarter Than You Think"内の記述によると、中国では、20年前に年間8,709(1日あたり約24件)だったデモの件数が、上述の四川省什邡市デモのあった2012年には年間9万件(1日あたり247件!?)に増加してるそうです。ソーシャル・メディアの影響がすごいらしくて中国政府は検閲しきれないのだとか。経済発展のこと考えるとインターネットをシャットダウンするわけにもいかないですし。まぁ、1日あたり247件もデモがあって、中には「一党独裁からの独立記念日だー!!!」なんて方もいるとなるともうそれはデモっていうかクーデターみたいなものですから、本当に大変ですよね。
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