NYのオークション・ハウス、クリスティーズ(Christie’s)で15日に開催された現代アート作品(postwar and contemporary art)のオークションで、12名のアーティスト作品がそのアーティストの過去最高落札価格を更新し、この日の取引額も、クリスティーズの
『一度の』オークション最高額となる4億9,500万ドル(1ドル=100円換算で495億円)に!!!
NYの街角グラフィティ・アートをモチーフにした作品で有名なバスキア(Jean-Michel Basquiat)の"Dustheads"が48.8百万ドル(約50億円)。
ピカソの同名作品のパロディ作品だから高値はつかないと見られていたリキテンスタイン(Roy Lichtenstein)の"Woman with Flowered Hat"も56百万ドル(約56億円)。ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)の “Number 19, 1948”も予想の倍以上の58.6百万ドル(約60億円)・・・などなど高額落札の雨アラレ。
一時は、2007年秋に起こったリーマンショックによりどん底に落ち込んだと言われたNYのアート市場は、
2010年秋シーズンに回復へ転じ、
2011年春シーズンには、印象派なども含めて5億5,700万ドルほどの売上げで、クリスティーズの『シーズン』最高額を更新してましたが、その勢いは益々強まっているようです。業界関係者から「我々は新しいアート市場の時代に入った」(
We are in a new era of the art market)という自信に満ちた声も・・・。
でも、今回落札された中から最も代表的なバスキア、リキテンスタイン、ポロックの作品を見ても、その価値をすぐに理解できる方は、日本にはあまりいないかも?
こちらでは、特にアンディ・ウォーホール以降の現代アート作品の価値を理解するには、ファイン・アート界の歴史や作品が持つバックグラウンドやコンテクスト関する知識が必要になる・・・と考えられているんです。
ファイン・アートの世界では、極端に言うと、
アート=コンテクスト。
アートを楽しむ=コンテクストを楽しむ・・・みたいな? 技術は、コンテクストを伝えるための1つの手段に過ぎず、どんなに技術が良くてもコンテクストに意義がなければ価値もゼロ、といった感じ。まぁ、だいたい絵の技術が上手けりゃ良いってなら写真機が発明された時点で、絵画の価値なんてなくなっちゃいますから、欧米のファイン・アートの世界では、重要なのは技術<コンテクストになっていったというわけ。
だからこそ、こういうふうに高額で落札されるアート作品も出てくるのですね。
また、今回のニュースの
記事でNYタイムズは、作品が持つバックグラウンドやコンテクストだけでなく、アーティストについても「アメリカ文化史の中心人物として認識されていることや、歴史、または歴史としての認識が、技術よりも重要になる。」(
...perceived as a central figure of American cultural history. And history, or the perception of it, rather than art, is what mattered.)とか書いていて興味深いです。
"Dustheads" by Jean-Michel Basquiat“Woman with Flowered Hat” by Roy Lichtenstein“Number 19, 1948” by Jackson Pollock 〔関連過去ログ〕
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4歳の天才画家、アリータちゃん(Aelita Andre)がニューヨークのギャラリーで初の個展を開きます!!!:ジャクソン・ポロックさん関連
アートに限らず、日本から欧米へ向けて発信する情報や、商品、サービス、ポップ・カルチャーなどといったものも、やっぱり欧米の歴史やバックグランドやコンテクストを理解したうえで届けた方が、よりその価値を高めることが可能になる(=逆に、理解してなくてコンテクストに意義がなければ価値もゼロになっちゃう)・・・とも言えます。日本ではあまり語られてないようですが、真面目にグローバル化を考えていく際は極めて重要なことになるかも・・・。うーむ。長くなりそうなので、この辺りのことはメルマガの方で書いてみようと思います。
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