
最新号の
ビレッジ・ボイスの書評コーナーに、村上春樹さんが写真入でどーんとデッカク!掲載されています。英訳版「
海辺のカフカ」("Kafka on the Shore")が発売されるそうで、その書評でした。
雑誌
ニューヨーカーでも特集されています。村上さんファンの方は必見でしょう。ご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますが、村上春樹さんの小説はアメリカでもたいへん広く読まれているのです。日本文学に詳しいアメリカ人と話をしていると、Haruki MurakamiとかYukio Mishimaとかの名前がポンポン挙がります。「日本にいる日本人より詳しいかも?」って思わせるくらいのツワモノも少なくありません。やっぱりアメリカ人は読書が好きなのですよ。今日は、せっかくの機会ですので、村上さんの作品がアメリカでどのように受け止められているのかちょっと調べてみました。ちょっと古いんですが、代表的だなと感じた書評を2つご紹介しましょう。
「村上は近代日本を代表する作家である。彼は、かつての理想主義にノスタルジーを感じつつ、突然訪れた豊かさにがく然としている。彼が描く日本では、古くて尊いものが滅び、醜くて意味のない寄せ集めがその地位を奪っていく。そして、この先に何が待っているかを知る者は誰もいない。」(ワシントンポスト、1989年12月)
「着物も、盆栽も、畳も、村上の小説には無縁だ。むしろ、彼の作品全版を通じて、西洋文化、特に1950~60年代のアメリカ大衆文化への崇敬を感じ得る。日本独特の地名や食べ物の名前が出てこなければ、この主人公がサンタモニカに住んでいても少しもおかしくないだろう。豊かさや、教育された文化によってもたらされた現代の中で、その浅はかさと物質的な人生を悲む姿は、奇妙なほどにこのアメリカに漂う倦怠感に通じている。」(ロサンゼルス・タイムス、1991年8月)
どうやら「物質的な豊かさの中に感じる空虚感」に対して共感を得ているようです。日本とかアメリカとかの違いを感じさせない何かがあるのでしょうね。生きることの意味について考えさせられるという方もいました。私にはちょっぴし内容が重いので村上さんの作品はあまり読んでなかったけど、これを機会にKafka on the Shoreを読んでみようかな。あ、でも、最初は原書の方がいいかしら?
今日のタイトル、「すべて移動の途中にある」は、この「海辺のカフカ」に出てくるセリフだそうです。この世の中にある物事のすべては、移動の途中にあるという意味らしく、とても興味を引いたので使わせて頂きました。それから、ビレッジ・ボイスというのはNYを代表するフリーペーパーです。ダウンタウン辺りならあちこちで山積みになってますよ。村上さんファンの方とか、欲しい方のためにいくつか確保しておきましょうか?
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