前回に続いて、メタファー・マーケティングと日本文化のお話。この夏全世界で公開されたピクサーの最新映画「カーズ2」では、日本が舞台として登場。
Perfumeの曲が劇中歌に使われてたり、もう、メタファーとかってレベルじゃないと言えばそうなんですけど、例えばこういうシーンとかあるんです・・・。
舞台は東京。主役のマックィーンの相棒のメーターが何か食べようと立ち寄ったのは、お寿司屋さん?! 登場人物はすべて車なのにお寿司、もちろん寿司シェフも車!!!
・・・なのに、「ワサビ」を、ピスタチオ・アイスクリームと間違えて山盛りで頼んで、ウギャーってなるというコミカルなシーン。このシーンの会話が非常に興味深いんです。まず、「ワサビ」は英語でそのまま"Wasabi"でオッケー。もちろん、劇中で"Wasabi"が何なのかとか、お寿司屋さんがどういうものかの説明ゼロ(以下、そのシーンのビデオ)。
ピクサー作品の中でも徹底的に子どもをターゲットにして作られてるのがカーズ、ですので、つまり、今や欧米では(少なくてもアメリカでは)、小さな子どもたちも"Wasabi"やお寿司屋さんが何であるのか知ってて当たり前ってことになってるんです。
また、ピクサーの映画作品にお寿司や寿司シェフが登場したのはこれが初めてじゃありません。
モンスターズインクでは、中心キャラのマイクくんがガールフレンドの美人受付嬢のセリアちゃんとデートで行ったのが、予約を取るのも難しい超高級日本食レストラン。その名も、Harryhausen(ハリーハウゼン)。
モンスターズインクの舞台はモンスターの世界で東京じゃありませんし、出てくるのはもっぱらモンスター。「完全なファンタジー・ワールドなのになんで日本食?!」って思った方もいるかもしれませんが、それほどまでに欧米では「とっておきのデート」でお食事に行くなら日本食、特にお寿司屋さんっていうイメージが当たり前のこととして定着しているんです。
日本に伝わる海外情報の多くは事件や事故。外国の方々の語る日本のイメージも、すでに顕在化した意識下のものが100%(=だから語れる)わけでして、
前回お伝えしたような何気ない街角風景の中にある「日本文化」とか、今回ご紹介した例のように無意識下で共有されている「日本文化」の認識については、実際に日本から海外に出てみないと分かり難いものです。
でも、実は案外、こういう無意識に訴えかける部分、いわゆるメタファーになってる部分が、日本の企業や日本人が海外で活躍するためには(=海外の人々の意識的、または無意識的な期待に適切に応えるためには)、極めて重要になってくるような気がします。
モンスターズインクの寿司シェフ、ハチマキに「志」ですよ
ちなみに、「カーズ」は2006年の一作目以降、関連グッズのライセンス販売が爆発的にヒットしてまして、無数にあるディズニー・キャラの中で断トツのナンバーワンです。今年2月、つまり2作目公開前の段階で、カーズ・グッズだけで累計セールス80億ドル突破!!!というとんでもないレベルになってます。
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