ニューヨークを代表する人気の美術館の1つ、ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York、略してMoMa)が、このたび、
新たなアート作品をコレクションに加えると発表。それが非常にユニークなんです。なんと、デジタル・フォント!!! そうです、皆さんもお馴染みの文字や数字のあのフォントです。
あまりに身近で、「これってアートなの?」って思われる方もいると思いますが、フォントは自然に誕生するわけではなく、それぞれちゃんと作者がいて、特別な歴史的背景のあるものも案外多いんですね。
例えば、Millerフォントは、19世紀初頭のスコットランドで生まれ欧米各国の新聞などに用いられていたフォントを参考に、ロンドンのガーディアン紙のためにMatthew Carterさんが1997年にデザインしたもの・・・など等。その他、そのカタチについてのウンチクというか評論的なものまでいろいろ出てたりして。今回、選ばれたデジタル・フォントは以下の23種類。今年3月2日から来年1月30日まで開催予定の"
Standard Deviations"という展示会で展示される予定だそうです。
【MoMaがコレクションに加えた23種類のデジタル・フォント(年代順)】
• American Type Founders
OCR-A (1966)↑
OCRは"optical character recognition"の略。銀行など金融機関で使われた最古の電子フォントの1つ。後にレトロ・テックな形からデザイナーに人気。
• Wim Crouwel
New Alphabet (1967)↑
モニターに表示可能なピクセル数が限られていた電子タイポグラフィの初期に、Wim Crouwel氏が主に水平な線だけで文字や数字を表現しようとして考案。
• Matthew Carter
Bell Centennial (1976-78)↑
電話会社のAT&Tの100周年記念に作られた。電話帳の文字として使うことも考慮し、小さくても判読可能でインクが滲みにくい細めになっている。
• Matthew Carter
ITC Galliard (1978)↑
16世紀に仏系タイポグラファー、Robert Granjonがデザインした"serif"フォントを現代風に作り直したもの。派手さが特徴。
• Erik Spiekermann
FF Meta (1984-1991)↑
1984年に西ドイツ郵便局による「切手上でも自然で小さく収まり判読しやすく、かつ、箱やトラックに印字しても適切」という依頼で作られたもの。
• Zuzana Licko
Oakland (1985)↑
創造性豊かなグラッフィック・デザインで有名になった1984年創刊の"Emigre magazine"で生まれたフォント。アップルのマッキントッシュ初号機で作られた。
• Jeffery Keedy
Keedy Sans (1991)
• Erik van Blokland and Just van Rossum
FF Beowolf (1990)
• Barry Deck
Template Gothic (1990)
• P. Scott Makela
Dead History (1990)
• Jonathan Hoefler
HTF Didot (1991)
• Neville Brody
FF Blur (1992)
• Jonathan Barnbrook
Mason (1992)
• Matthew Carter
Mantinia (1993)
• Tobias Frere-Jones
Interstate (1993-95)
• Matthew Carter
Big Caslon (1994)
• Albert-Jan Pool
FF DIN (1995)
• Matthew Carter
Walker (1995)
• Matthew Carter
Verdana (1996)
• Jonathan Hoefler and Tobias Frere-Jones
Mercury (1996)
• Matthew Carter
Miller (1997)
• Jonathan Hoefler & Tobias Frere-Jones
Retina (1999)
• Jonathan Hoefler & Tobias Frere-Jones
Gotham (2000)
〔ご参考情報〕
・
ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York)
Add: 11 W 53rd St New York, 10019
Tel: (212) 767-1050
文字や数字のカタチ、デザインをアート作品としてコレクションする・・・。こういう発想、伝統的に書道があったり、文章を描くときのフォントにも日常的に気を配っている日本人にはわりと理解しやすいような気がします。日本の携帯メールでよく使用される絵文字が海外にも普及したら、MoMaのアート・コレクションに加わったりして?
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