

10/16付のニューヨーク・タイムズに興味深い記事が掲載されてました。タイトルは、
"Going Long Liberty in China"。しかも書いたのは、国際情勢がご専門で1983年、88年、20002年にピューリッツアー賞を3度も受賞してる敏腕ジャーナリストのThomas L. Friedmanさん。"The World Is Flat"など複数の著書のベストセラー作家でもあります。

国民に政治的な自由は与えず、経済活動だけ自由化してここまでやってきた中国経済が今後どうなるか? たぶん、今、世界中で沢山の方々が考えてるテーマですよね?
Friedmanさんは、劉暁波(Liu Xiaobo)さんへのノーベル平和賞の一件を交え、
「私は中国が現体制でこれ以上発展するとは思わない」と断言。
その理由の要点をまとめると・・・。
『
中国には、低賃金の工場労働からより知識やサービスに基づく高付加価値産業へ向かうために必要不可欠な「自由という社会基盤」がない。 つまり、現在、世界のあらゆる知識労働産業は、社内外、国内外の人々と自由にアイデアを交換できる開放的な協力関係を基盤にして、ボトムアップで生産性を高め、発展・成長している時代なのに、ノーベル賞とか、劉暁波さんとかネット検索したら「システムエラーです」なんていう共産党の情報統制下じゃ、まったく話にならない・・・』とのこと。

しかも、中国は1979年から「一人っ子政策」(one-child population-control policy)を実施してきた悪影響で、20~30年後には成人一人に対する高齢者の介護負担が非常に大きくなると予想され、また女の赤ちゃんが中絶させられることが多いため男女比のバランスが極めて悪く、やはり20~30年後には婚期を迎えた男性が2~4千万人も余る見込み、という指摘も。
一党独裁の共産党政権下の中国では、党員関係者以外の一般国民の社会保障は殆ど期待できませんから、国民所得を引き上げるために他の先進諸国が歩んできたよりもっと早いペースで高付加価値産業へシフトしないといけない段階にきてるんですけど、じゃぁ、今の中国で政治を自由化し、言論の自由を認めたら、ただでさえ毎週、毎週、何千もの抗議活動が国内各地で起こっているのにどうすればいいのか分からんよ・・・と続け、最後は、
"Maybe they should ask Liu Xiaobo."(たぶん、彼らは劉暁波さんに相談すべきだ)と締めくくってます。
ウォールストリートジャーナルも特集記事を掲載
〔ご参考〕
www.thomaslfriedman.com:Thomas L. Friedmanさん公式サイト
今後の中国経済についての報道にはいろんな分析が出てきますが、どれが正しいのか、間違ってるのかよく分からない話が多くてなんだろうなーと思ってたんですけど、今回、Friedmanさんの『知識産業の発展には自由が必要不可欠』っていう主張は明々白々で、とても納得できました。インターネット以前の情報伝達がスローな時代ならまだしも、今、この時代に言論統制なんてありえません。情報を自由にやり取りできなかったら知識労働者は仕事になりません。劉暁波さんが良い例だと思いますが、たぶん、今の中国でも、まともな知識人と呼ばれる方はこの問題点に気づいていて、民主化活動の重要性を分かっているのでしょうね。
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