

昨日に続いて、芸術の街、ニューヨークの
アート・サプライ・ストア(Blick Art Materials)から・・・。見てるだけでも楽しくなっちゃう、多種多様の品々。そんな中、「ハサミ」コーナーに行ってみたら、とあるブランドの「ハサミ」がいーっぱい!皆さん、「ハサミ」のブランドとか日頃気にすることってありますか?

実は、「ハサミ」にも世界ナンバーワン・ブランドの会社があるんですよ。
フィスカース(Fiskars)っていうんですけど、なんとビックリ、創業は1649年!!! 当時の日本は江戸時代前期、3代将軍徳川家光から家綱に代わった頃。アメリカ合衆国なんてまだ存在しません!!! そんな時代から360年も続く、フィンランドの会社なのです。
でも、歴史の長さよりもっと驚きなのは、「ハサミ」の世界ナンバーワン・ブランドってこと!!!
だって、コンピューターとか、大型フラット・スクリーン・テレビとか、その他いろんな最先端技術を使った製品ですら、グローバル化の進む今の時代、国際競争によってどんどんコモディティ化しちゃうじゃないですか。
なのに、めちゃめちゃコモディティ化しやすそうな「ハサミ」のブランドで世界を制覇して、今もなおその地位をキープし続けてるって、どういうこと?! いったいどうやって???
その答えは、フィスカースのマーケティングの考え方にあります。フィスカースは、インターネットやSNSが今ほど普及するずっと前から、宣伝・広告で製品の優れた点や技術力を強引のプッシュするのではなく(=自社製品を売らず)、それを使ってクラフトや手芸品など何かを作る人々(=クラフター)のための発表の場、コミュニケーションの場を用意したんです。

そして、さらにそうしたイベントを通じて募金集めをして寄付するとか、子どもを持つ普通の家庭のお母さん達でも、『世の中をより良い方向へ変えていける体験』を提供しました。
自作のクラフトを通じて自己表現する楽しさや喜びを感じ、世の中をより良く変えていく体験をした人々は、自らの言葉でフィスカース(Fiskars)の素晴らしさを自発的に友人、知人へと広めていったそうです・・・。
インターネット時代の今、フィスカースはもちろんそのための公式サイト、"
fisk a teers"を提供。サイト案内のページには、"
Craft the Love"(愛を創ろう)や"
Scrap your Life"(あなたの人生を記録に残そう)等のキャッチフレーズ。このサイトはブログ形式のコーナーがメインで、カテゴリー内には人生について考えたりディープなものも。ブロガーは、クラフターであり、お母さんでもある普通の方々。身近な日々の出来事をつづりながらクラフトのアイデアなども紹介してます。
"fisk a teers"のサイト案内ページ
「昨夜のエミー賞のレッドカーペットで見たエレガントなドレスに刺激を受けてお手製のカードを作ってみました」という記事。材料紹介のリンクからその製品を買うこともできます。
社会貢献活動もいろいろ:新学期に向けて文房具の寄付
社会貢献活動もいろいろ:環境問題にも取り組んでます
〔ご参考〕
・
http://www2.fiskars.com/:公式サイト
・
小学校の先生たちの「集団の英知」を結集する最強のサイト by Scholastic[2010-09-05]
このケースは非常に興味深い事例だと思います。「ハサミ」で世界一ブランドを築けるなら、どんな製品でもブランディングできる気がします。ここでもカギはコミュニケーション。それも何か大きな社会的な目的を掲げたうえで、人々の結びつきを誘発するものって感じですね。そういう時代の流れもあるでしょう。こうなってくると、英語が話せるとかっていうレベルじゃなくて、欧米の文化や価値観を知ってるかどうかが益々重要になりそうな気配です。
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