2010年4月11日付、ワシントン・ポストに「かつて米国の大学に惹きつけられていた日本人学生が、内に籠もるようになった」という記事が掲載されたことをうけて、日本のJ-CASTニュースさんに「
日本人の米国留学 10年で4割減少の理由」という記事が4月17日に掲載されました。
ワシントン・ポストが挙げた減少の理由は、『景気悪化などと並んで日本人の「草食(grass-eater)化」:日本の最近の若者はリスクを避け、自分の世界で満足しようとする傾向があるとしている』というもの・・・。ヒドイ(涙)。いくらなんでもめちゃくちゃな分析ですよね。
それに対し、文部科学省のデータから、『98年以降は8万人前後で推移している。米国への留学だけが落ちているようだ』とJ-CASTニュースさんが報じてくれたので、
元データを調べてみたのが上のグラフです(最新の資料に使用されている当該データは2006年までのものになってます)。おっ!ワシントン・ポストに反論できるデータ登場かも?って見てみると・・・。うーん。どうかなぁ。
確かにこの数字を見ると、日本人留学生の全体数が極端に減少しているわけではなく、留学先が多様化してきたのかなとも見受けられますが、最初のワシントン・ポストの記事が書かれた背景となったアメリカへの国別留学生の数の推移(以下のグラフ、元データは上の文科省と同じIEEのOpen Doors)をもう一度見てみると、どーしても少し気になることがあります。
例えば、なぜインド、中国、韓国が増加トレンドなのに、日本だけ減少なのでしょう?たぶん、これら他のアジアの国々でも留学先は多様化してると思いますが、アメリカへの留学生の数は減ってません。2000年から10年弱でだいたい倍増するほどの勢いがあります。
また、人口の多いインドと中国は別にして、日本の人口の約1/3ほどの韓国から米国への留学生は、2000年に日本とほぼ同じくらいあって、2008年には2倍以上になってしまいました・・・。
この状況を改めて見てみると、J-CASTニュースさんが取材された日本留学生支援機構の担当者の方がご説明された『かつて米国だけだった選択肢が増えたのではないでしょうか』というお話は、日本国内にしか目が向いてなくて、なんとなく世界全体の動きが見えてないような気がするんですけど・・・。
なぞはなぞのままです。っていうか、つい先日、文化産業を21世紀の日本のリーディング産業に!っていう、日本政府の審議会のお話をご紹介しまして、「人材」が重要ですよねーって書きましたが、やっぱりより幅広く留学支援をやった方がいいんじゃないでしょうか。経済ほかいろんな面でグローバル化が益々進んでる時代に、日本人留学生の全体数がほぼ横ばいとか、アメリカへの留学生が減少するって、なんで?人口比や経済力を考慮してみても、他のアジア諸国に今の日本がこんなに引き離されるってありえないと思うんですけど。
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