タイムズスクエアで見かけた巨大ビルボード。水が半分入ったグラスに
"HALF FULL OR HALF EMPTY" のメッセージ。楽観と悲観の違いを説明する際によく見るあのフレーズ。ビルボードはテレビ・ドラマの宣伝なんですけど、"HALF FULL OR HALF EMPTY"ってメッセージは後からジワジワと染みてくるというか、なんとなく『今年を象徴するフレーズ』っぽくて妙に気になります。
無数の巨大ビルボードや巨大スクリーンのあるタイムズスクエアですから、たぶんこの看板も、今の時代の人々の関心にマッチするように、リサーチなどしてある程度考え抜かれたものなのかも。
そう言う意味では、最近ご紹介した
フォルクスワーゲンのキャンペーン、"Fun Theory" も『今年ならでは』のアイデアかもしれません。
今年2009年は、サブプライム・ローン問題からのリーマン・ブラザーズなど大手金融機関の破綻の影響から、100年に1度の大不況を迎えましたが、そんな時代だからこそ、今まで気づかなかったことに気づいたり、見過ごされてきたアイデアや知恵の重要性を改めて認識しはじめたりとか・・・?人類の歴史を振り返ってみても、偉大な小説家、アーティスト、クリエーター、リーダー等の多くが決して恵まれない時代、恵まれない環境の中から生まれ育ってきてるわけで、今の不況期の意義は少なくないような気がします。
・・・なんてことを友達と話してたら、Daniel PinkさんのTEDでのスピーチが面白いよって教えてもらいました。
TEDとはTechnology、Entertainment、Designの頭文字で、興味深いアイデアを世の中に広めるために作られたNPO団体のこと。キャッチフレーズは、"Ideas worth spreading"。
今年の夏、Daniel PinkさんはTEDで「驚くべきモチベーションの科学」と題するスピーチを行ってまして、その中で、
『金銭的なインセンティブ(つまり、お金による報酬)は、全体的なパフォーマンスに対しマイナスの影響を持ちうる』 ということが科学的実験で証明されたと発表しました(米国政府機関や大学、英国の大学でも同じ結果)。
もちろん、単純労働では金銭的なインセンティブの効果はありますけど、初歩的でも認知力が求められるタスク(=いわゆるクリエイティブな作業)になると、お金インセンティブの効果は薄れるどころか、逆にマイナスの影響も出るっていうんです。
えぇー!って感じ。じゃ、どうすればいいの?って思いますけど、そこで代わりに提唱されてるのが「内的な動機付けに基づくアプローチ」。
いわゆるクリエイティブな作業(今の時代、先進国では大半の仕事がクリエイティブなものになってます)でモチベーションやその成果を高めるカギは、
AUTONOMY、MASTERY、PURPOSE (自主性、成長、目的)にあるのだとか・・・。このアプローチの実例として、就業時間の20%を本来の仕事と関係ないことに使う「20%ルール」や、24時間本来の仕事と関係ない何でも好きなことをやれという「Fedex Days」等を挙げてます。
うーむ、なんとなく"Fun Theory"につながってるような・・・。そして、近年のニューヨークで参加型の一緒に楽しめるイベントとか、いろんなタイプの社会貢献活動(お金以外のモチベーションの典型例)を頻繁に見かけるようになった背景もココに関連してる感じがします。
Danielさんのそのスピーチ
〔ご参考〕
・
www.ted.com :TED公式サイト
・
www.danpink.com :ダニエルさん公式サイト
・
ネットやITの進化で、世の中に「一緒に楽しめる」が増える? [2009-11-10]
・
今年ご紹介したニューヨークの様々な社会貢献的活動のまとめ [2008-12-12]:昨年のものですが記事の大半が何らかの社会貢献活動に関連したものとなってました。
そっかぁ、自主性かぁ・・・。どういうふうにしたらその自主性が育まれるのかとか、"Fun Theory"的な発想の重要性ってかなりありそうとか、いろいろ考えちゃうところです。やっぱり、そういう意味でも、ある状況に対する見方というか、"HALF FULL OR HALF EMPTY" のどっち側で感じるかっていうことは、こういう時代だからこそますます大事なことになってくるかも。同じ状況でも、HALF FULLと感じる人と、HALF EMPTYと感じる人では、その時点の自主性ってぜんぜん変わってくるでしょうしね。
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