
ハロウィン、ヤンキース・フィーバーとお祭り騒ぎの続いているニューヨーク。実はその間、市長選挙が行われてまして、現職のブルームバーグさんが当選。不況下の現職市長としての現状や、法改正して3期目もできるようにしたことなどから、批判の声も多々出てますが、彼が2期8年(つまり、あの911直後から今まで)の間にやってきたことから、学べることは多いと思います。

とにかくスゴイ手腕ぶり。興味深い例を挙げると、新しい社会福祉のあり方を提唱する『
貧困層の人々が"良い行動"をした場合にお金を与える』プログラムや、教育再建を支える『
パブリックスクール(公立学校)を支援する』ファンドほか、『
市民生活に関係するボランティア活動を普及する』プログラム等など。
何がスゴイかって、普通の自治体ならお役所がやるようなお仕事を、市民によるNPO組織ができるように変えちゃったんですよ。仕組みづくりが上手すぎ。
しかも、税金を投入するんじゃなくて、寄付金を募るんです。そして、まっ先に自分で寄付するっていうスタンス・・・。
市長選挙の直前、9月30日には、"Curate New York City"などニューヨーク市のアート関連NPO団体(1,400団体、4万人の職員、無数のアーティスト)を支援する新しいプランも発表。このプランには市所有地でのアート展示やパフォーマンス公演を支援する"New York City Performs"や、アーティストやNPO向けに職業訓練等を行う"Artists as Entrepreneurs"(起業家としてのアーティスト!)っていう、おもしろそうなプランも含まれてます。

ってことは、来年は、これまで以上にニューヨークにアート関連のイベントが増えるってわけですよー。うわー。
こういうの見ると、アートに対する考え方が、日本とはだいぶ違う印象を受けますね。まさに『ニューヨークはアートを必要としている』っていう感じ。
「
美術学修士号(MFA)が新しい経営管理学修士号(MBA)だ!」なんていう、Harvard Business Reviewの記事がありましたが、そういう新しい世界観とかもこの背景にあるのかも?
ちゃんとアート・セクターが地域経済に生み出す経済効果(58億ドル)を考慮したうえで計画が発表されてるあたりも、さすがです。
最後に、この計画を担当するNew York City Economic Development Corporation(略してNYCEDC)のPinskyさんのコメントの一部をご紹介します。
“New York’s world-famous arts and cultural institutions large and small are an integral part of the fabric of our City, helping to create the dynamism and excitement that make New York an attractive place for visitors and residents alike. By working to support the endeavors of our arts and cultural community during these difficult economic times, NYCEDC and the Department of Cultural Affairs are aiming to ensure a vibrant future for both the creative people and institutions that comprise this crucial sector.”
(和訳)
「ニューヨークにある世界的に有名なアートおよびカルチャー関連組織は、規模の大小を問わず、この街を織り成す糸なのです。観光でいらっしゃる皆さん、お住まいの皆さん共々にとりまして、ニューヨークを魅力ある場所にするダイナミズムとエキサイトメントは、彼らによってその創造を支えられております。現在の不況下において、私たちのアートやカルチャーのコミュニティ運営を支援することにより、この重要な分野を担うクリエイティブな方々と組織の両方のための、活気に満ちた将来を保障することを目指しています。」
〔ご参考情報〕
・
MAYOR BLOOMBERG ANNOUNCES FIVE INITIATIVES TO HELP STRENGTHEN NEW YORK CITY'S CULTURAL SECTOR 〔September 30, 2009〕
限られたパイ(この場合は予算とか)を奪い合うのではなく、みんなで協力して、より多くの人々がハッピーになれる大きなパイ(a big enough pie to share)にしちゃおうっていう理想を率先して実行しています。すごいなと感心するのと同時に、日本の地方自治体でも今後こうした感じのNPO組織が活躍するケースは増えていくんじゃないかって気がします。だって、みんなで助け合ってより良い社会を築こうっていうのは、どっちかって言えば日本の伝統的な文化ですしね。あと、ニューヨークでも最初からこうなってるわけじゃなくて、かなり時間かけてようやくここまでやってきたって感じみたいです(長年続いてるNPO団体の方のお話)。
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