上の写真は、以前、
コロンビア大学キャンパスの児童書読書会で見かけたポスター。「
子どもが物事をどう見るかは、私たちが教えること次第・・・」(How children see things depend on what we teach them)。
前回取り上げた大津市中学生自殺事件のような悲劇について考えてみると、今、子ども達に教えてること(=教育)やその方法について、改めて見つめ直す必要もありそうな気がします。
その際、参考になりそうなのが、例えば、アメリカの「
ボランティア・メンター制度」。
メンターとは「精神的な支え」として、放課後の子ども達の勉強や遊びの相手をする方々。
日本では馴染みがないかもしれませんが、のび太くんに対する
ドラえもんのような存在? 友達や親にはしにくい悩みの相談相手にもピッタリ。
アメリカにはそんなメンターを提供するボランティア団体がいくつもあって、例えばニューヨークには、
20年以上の歴史を持つものも。
子ども達のメンターをしている方々(=ドラえもんの立場の方々)からも、子ども達の支えになることは自らの精神的な成長にもつながり、他では得られない非常に充実した時間が過ごせるといった声も出ており、近年では、自分が幼い頃にメンターにお世話になった子ども達が、大きくなって恩返しのためにメンターになるケースも増えてるそうです。素晴らしい。
ドラえもんのような秘密道具は持っていなくても、学校や家庭のほかに、子どもの味方になって精神的に支えてくるメンターさんが日本でも普及したら、特にいじめの問題への対応などには良い影響がありそうな気がします。
続いて、もう1つ参考になりそうなのが
Scholastic.comというウェブ・サービス。コレは
以前ご紹介した通り、幼稚園から小学校までの教育関係者を対象にしたソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の一種。学校の先生たちの
「集団の英知」を結集して、
授業準備や事務作業などの負担を軽減し、精神的な支えにもなり、教育のクオリティ・アップに貢献するものです。
アメリカには他にも類似のSNSはいっぱいありますが、Scholastic.comがスゴイのは、完全に一般公開されてる点。親のためのコーナーもあり、また上述のメンターさんたちが参考にすることも可能です。また、極めてオープンなため集まる情報も増え、その質も高まるという仕組み。
授業で使えるレッスン・プラン、ストラテジー、教材等をみんなで無料で共有できるようにオープン・ソース化した"
Teaching Resources"というコーナー(しかも学年別、科目別、季節別などで探せます)や、先生たちが日頃の活動の中で得たアイデアや想いをつづる"
Teacher to Teacher Blog"や"
TeacherShare"など各種サービスを無料で提供。
確かに、毎年の季節行事や教える内容がある程度固定化している学校教育では、「集団の英知」を活用するこうしたウェブ・サービスは非常に役立ちそう。インターネット普及率が抜群に高い日本だったら、中学校や高校など様々なバージョンがあっても良いですし、むしろ、今どきの日本にこういう感じのウェブ・サービスが存在しない方が、何かがおかしい気がします。
なんでかなぁ・・・って思ってたら、実は、日本の教育現場では『
教職員へのパソコン配備率は4割に満たず、学校現場からは「省力化したくてもパソコンがない」とアナログな職場環境にぼやきも漏れる。』(2012年3月9日 読売新聞)と、実際に異常な状況になってるところも一部あることが判明。全国のすべての学校がこんなに酷い状況だとは思いませんが、残念ながら、世間の一般常識から今や大きく乖離してしまってる学校や教育委員会もあるようです。
逆に言うと、そうした学校や教育委員会の状況を、世間の常識的な水準に改善するだけでも、だいぶ状況が良くなるのかも? いずれにしても、「
子どもが物事をどう見るかは、私たちが教えること次第・・・」。今回の事件が、子ども達に教えてることやその方法を改めて見つめ直す機会になったら良いと思います。
子ども達が描いたメンターさんたちの似顔絵展
(デパートBloomingdalesのショーウィンドウにて)
いろいろな授業プランも無料でシェアするScholastic.com極めてインターネット普及率の高い日本〔ご参考〕
・
http://www.mentoring.org/:ボランティア・メンター団体
・
http://www.mentoringusa.org/:ボランティア・メンター団体
・
http://www.scholastic.com:児童教育SNS
前回の「大津市中学生自殺事件、アメリカだったら加害者はただでは済みません」に本当にたくさんのツイートありがとうございます。せっかく、いじめ対策への注目が高まってますので、過去ご紹介した少しでも役立ちそうなアメリカの事例を今回改めてご紹介してみました。ご参考まで。
【追記】Murakamiさん、とても貴重な情報どうもありがとうございます!
「平成22年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」(平成23年3月現在)によりますと、大阪は出遅れてるものの、小中高の教員へのパソコン配備率は昨年3月時点で全国平均(99・2%)に達してます!!! これはグッド・ニュース。それなら、ますますこういう感じのウェブ・サービスがないのが不思議ですね。以下、当該資料から「教員の校務用コンピュータ整備率」の時系列グラフもご参考まで。
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